民泊新法の施行を前に

6月15日からのいわゆる民泊新法(住宅宿泊事業法)の施行を前に、連日のように民泊関連の報道がされています。

国内外からの観光客が多数訪れる京都市にも大きな影響がありそうです。当事務所のまわりにも小さな宿泊施設らしきものをちらほらと見かけます。なにより当事務所のお客様にも京都市内でゲストハウスを営業されている方がいますので、無関心ではいられません。

民泊営業には民泊新法の届け出か旅館業の許可が必要

京都市の資料によれば、2018年1月末時点で旅館業許可を得ている施設数は2,731件(内訳:ホテル206件、旅館367件、簡易宿所2,158件)。これに対し、同年2月9日時点で大手仲介サイトに登録している施設は6,183件で、合計約3,400件もの差があります。

差異3,400件の実態は筆者には詳しく分かりませんが、大部分は旅館業の許可を得ていないものと思われます。何ら許可を得ることなく、空き家や空き部屋を大手仲介サイトに登録し外国人観光客などを泊めているのでしょう。

民泊新法施行を受けて今後、京都市内において住宅を使って宿泊サービスを営もうとする場合には、事前に、京都市に対して民泊新法にもとづく届け出をおこなうか、旅館業法にもとづく旅館業の許可(簡易宿所)を得る必要があります。

これらの手続きを行わず営業をしている民泊は違法となるので要注意です。民泊仲介サイトのエアビーアンドビー(Airbnb)もこれに対応し、無届施設への宿泊予約を取り消し波紋を広げています。

ハードルが高い京都市の独自ルール

ところで、民泊新法にもとづく届け出をおこなって京都市内において民泊をしようとするのは、実際にはハードルがかなり高いです。というのも、京都市が、民泊新法の規制に上乗せする独自のルールを条例化したためです。

住居専用地域では1月15日正午から3月16日正午までの期間中しか民泊を営めないなどの制限を設けました。

したがって京都市内で民泊営業をして利益をあげようと考える場合は、旅館業法にもとづく旅館業の許可(簡易宿所)を受けるほうがよいでしょう。もちろん所定の要件をクリアして適切に施設を運営しなければなりません。

なお、最初にご紹介した当事務所のお客様も、この旅館業許可を得てゲストハウスを経営されているのであり、正確には民泊とは違います。

京都市では10月以後、宿泊税の導入も予定。納めるのは業者

民泊新法とは直接関係ありませんが、京都市においては宿泊税の導入も注目点の一つです。

宿泊者が負担するものですが、京都市に実際にお金を納めるのは、旅館業を営む方や民泊新法にもとづく民泊を営む方です。

これらの方は、2018年10月1日以降、宿泊者から宿泊税(宿泊料金に応じて200円~1,000円)を徴収し、ひと月ごとにまとめて京都市に納めなければなりません。

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