得する会計のキホン　売上は商品引き渡し時点、サービス提供時点で計上！

「経営の極意は会計にあり」と前回の投稿（ブログ）で書きました。やや大げさですが、会計をしっかりさせることは企業経営にとっては不可欠の課題です。強調してもしすぎることはありません。

そこで、このブログでも、会計のキホンについて時々、書いていきたいと思います。

今後事業を起こしたいという経営者や、起業してそれほど経っていない経営者の方などの参考になれば幸いです。

初回のテーマは、「売上は、商品を引き渡した時点、サービスを提供した時点で計上しましょう」です。

会計ソフトまかせでは間違うことも

このテーマは売上をいつの時点で計上するかということです。計上というのは、会計ソフトを使っている場合は、売上を何月何日付の取引として入力するかということです。

このような売上計上の時点は会計の中ではとても重要なことです。しかし、ご自分で会計ソフトに入力し始めたばかりの方などは、正しくできていないことが案外多いように感じます。

会計ソフトが発達し作業が自動化されても、それを扱う当人が売上をいつ計上するのかということを知っていないと、会計ソフトに正しく売上を記帳できない結果となってしまうことがありますよ。

よくある間違いは、つぎのようなケースです。

＜間違い例＞商品を引き渡したが、代金を後でもらう約束となっていたので、代金が入金された時点で売上を計上していた。

この人の場合は、銀行の預金口座に2ヶ月遅れで代金が入金されていました。その入金の時点で上記のような記帳（入力）をしていたのです。

代金をもらうまでにタイムラグがある　掛取引のお話

代金を後日にもらうという取引（掛取引＝かけとりひき）は、ビジネスの世界では普通におこなわれていることです。むしろ取引の大半が掛取引であると言ってもよいぐらいです。商品やサービスの提供時点と、お金をもらう時点との間にタイムラグがある取引です。

• 洋服の卸売業者が小売業者に洋服を販売したが、代金を1ヶ月後にもらう
• 美容院が客に施術をしたが、代金はクレジット払いでもらう
• クリニックが患者を診察したが、保険から支払われる診療報酬は2ヶ月後に入金される
• ライターが原稿を完成し出版社に引き渡したが、原稿料は2ヶ月先にもらう

こういった取引は、すべて掛取引です。基本的には、商品・製品を相手に引き渡したり、サービスを提供した時点で、売上を計上し、その時点で会計ソフトに入力するようにしましょう。

日付は、サービス業の場合は、サービスを提供した日となります。

正しい利益を算定するために

なぜこのようなことをするのでしょうか。それは、何よりも年度ごとの正しい利益を計算するためです。

たとえば、3月31日が年度末だったとしましょう。そして、3月20日に100,000円で商品が売れました、かつ、代金は翌4月30日に銀行振込によりもらうことになっていたとします。

これを代金が入金された時点で売上を計上することにしていたとするとどうなるでしょう。

この売上100,000円は翌期分の売上になってしまいます。今期に商品を仕入れ、苦労して販売までこぎつけたにもかかわらず、今期の売上にはならない。

そうすると、今期の営業努力の成果が今期の決算書に反映されないことになりますね。これでは正しい利益が計算されず具合が悪い。そうした理由で、次のように記帳するのが正しいやり方です。

後日、代金の入金があったときは

そして後日、代金の入金があった場合に、売掛金の消込みをおこないます。代金の入金は、銀行振込の場合もありますし、現金でもらうこともありますが、どちらの場合も売掛金を回収したわけですから、その分、売掛金を減らしましょう。

上記の具体例で、実際に4月30日に代金の入金があったとしたら次のようになります。

売上を計上する時期については他にも論点があります。「先に代金をもらった場合どうするの？」「期末なったが販売代金がまだ決まっていないときはどうする？」「回数券を発行したのだがどうしたらいいのか？」などです。しかしながら、これらについては別の機会に譲りたいと思います。