トランプ大統領も「納税者ファースト」の提唱者?

ブログの第2回です。

表題のとおりなのですが、実はアメリカ・トランプ大統領も「納税者ファースト」を掲げています。当事務所のスローガンは、トランプ大統領に先を越された形です(?)。そのことは知ってはいたのですが、今回釈明(??)させていただきます。

「納税者ファースト予算だ」

2017年5月23日、トランプ政権が2018年度(2017年10月~2018年9月)の予算教書を発表しました。アメリカの予算教書とは、大統領が作成する来年度予算の「叩き台」のようなものです。2018年度予算教書について同政権が「納税者ファースト予算(taxpayer first budget)」だと売り出しているのです。

しかし、トランプ政権の「納税者ファースト」は、私のそれとは意味が違います。そのことを今日はお伝えしたいと思います。

私の言う「納税者ファースト」とは、納税者には憲法で認められた権利(納税者は法律で定められた以上の税負担を負わないこと等)があり、税理士としてそれを第一に考えましょうということです。

ところがです。トランプ政権の予算教書では、納税者の権利を擁護するという意味のことは一切記載されていません。この点が根本的に違うところでしょう。

予算教書の内容

では、トランプ政権の「納税者ファースト」とはいったいどういう意味なのでしょうか。

正直なところ予算教書からは「これが『納税者ファースト』の内容だ」ということはなかなか読み取れないように思います。

たしかに、個人及び企業に対する減税項目はいくつか書いてあります。個人所得税の税率の引き下げ、子どもがいる家庭などへの基礎控除の拡大、相続税の廃止、企業向けの減税などの文言です。このような減税と合わせて税制の簡素化もおこなうようです。

しかしその一方で、予算教書には、低所得者向けの社会保障予算の大幅なカットが多数掲げられています。そして、こうして「節約」したお金を軍事費や移民対策などに回す方針となっています。軍事費については2017年度より520億ドル増やして6,390億ドルにするという途方もない金額です。また、移民対策としては、メキシコとの国境に壁を作ることも挙げられています。

アメリカの納税者のためになるのか

個人的には、このように2018年度予算教書を全体としてみたときには下記のような疑問を持ちました。

  • 個人、とくに低所得者は、一方で減税になっても、他方で社会保障予算がカットされたら、差し引きして実質負担増にはならないのか?
  • 減税をする一方で、巨額な軍事費をさらに増やすなどして、本当に財政赤字は解消されるのか?
  • 軍事費の増額や移民対策の強化は、他国との摩擦を強めたりするので、アメリカの安全には役立たず、かえって国を危険にするのではないか?

予算教書は「納税者ファースト」と謳いながら、真にアメリカの納税者のためにならないのではないか。引き続き注目していきたいと思います。

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