超高級品は軽減対象となるか〜消費税軽減税率

前回の記事で、飲食料品(一部を除く)の販売が軽減税率(8%)の対象となると書きました。今回はその問題点の一つを指摘したいと思います。

そのための質問です。次のような品目は、軽減税率の対象となるでしょうか。

  • 5粒で50,000円のいちご
  • 6個で90,000円のメロン
  • 200グラムで18,400円の神戸牛サーロインステーキ
  • 1本500グラム、3本で10,000円のトマトジュース

どれも超高級品ですね。でも実際に販売されているのです。これらは軽減税率となるのでしょうか。

結論的には、Yesです。消費税法では、これらの品目を事業者が販売すれば(あるいは消費者がこれらの品目を購入すれば)、標準税率(10%)ではなく、軽減税率(8%)が適用されることになっています。

申し上げたいのは、こうしたことで軽減税率の目的(「低所得者対策」)を達成できるのか、ということです。

残念ながらそれは難しいというのが実際のところ。なぜなら、一般庶民は、超高級品に対してなかなか手が出ず、こうしたものを頻繁に買えるのはある程度の所得の高い人たちでしょう。すなわち、これらの品目に限ってみれば、軽減税率で「恩恵」を受けるのはある程度所得の高い人たちとならざるを得ず、一般庶民はあまりトクをすることがないわけです。

ここに軽減税率の問題点の一つがあると言えましょう。

税理士会が抵抗する軽減税率

もともと、軽減税率の上記の問題点は日本税理士会連合会が指摘していることです。「平成26年度・税制改正に関する建議書」では下記のような分析をし、その後現在まで一貫して軽減税率の導入に強く抵抗をしています。

消費税については、高所得者は所得に対する消費税の負担割合が低くなり、低所得者の所得に対する消費税の負担割合が高くなるという、いわゆる逆進性の問題が指摘されている。(中略)しかし、軽減税率を導入した場合においても逆進性は必ずしも解決されるとは限らない。(中略)軽減税率は低所得者にその適用を限定することはできず、高所得者により大きな効果をもたらす側面もある。

来年10月1日から消費税増税と軽減税率が導入される予定です。問題点は他にもあるのですが、今回はここまでとします。

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