経営の極意は会計にあり

「事業を始めたのはいいが、記帳の仕方が全然分からない。どうしたらいいのか」

経営者の方からそのような声をときどき聞きます。

また、経営者の中には、自らの事業そのものについてはプロフェッショナルでも、事業を支える会計のことになると「あまり自信がない・・・」という方も少なくないようです。

これから事業を起こそうとする方、またすでに事業を起こしたが間もない経営者の方には、ぜひ「会計」を学び、経営に活かしていっていただければと思います。

会計は企業の姿を「お金」で捉えて示す

会計は、企業にとってはとても大切なものです。それは、その企業の経済活動を一つ一つ記録して計算し、その結果を「金額」で目に見える形で表してくれます。会計情報は、様々な要素の絡みあった企業の姿を貨幣という一つの尺度でもって表しているのです。

会計情報はどのように使われているでしょうか。

株主や銀行、取引先など企業外部を取り巻く利害関係者たちは、会計情報を入手して、「新しくこの会社に投資しよう」「この会社と取引するのはやめておこう」など投資や取引をする判断材料にしています。

一方、企業の経営者自身は、今後の経営戦略を策定したり、それを達成するにはどうしたらいいかの計画を立てたりなど、企業の経営管理のために会計情報を役立てています。

京セラ稲盛名誉会長の指摘

京セラの稲盛和夫名誉会長は、著書の中で「会計が分からなければ真の経営者になれない」として次のように言っています。

経営者がまさに自分で会社を経営しようとするなら、そのために必要な会計資料を経営に役立つようなものにしなければならない。それができるようになるためにも、経営者自身が会計を十分よく理解し、決算書を経営の状況、問題点が浮き彫りになるものにしなければならない。経営者が会計を十分理解し、日頃から経理を指導するくらい努力して初めて、経営者は真の経営を行うことができるのである。(『稲盛和夫の実学 経営と会計』日本経済新聞出版社、2000年)

いまでこそ巨大企業の京セラですが、もともとは京都発の小さなベンチャー企業でした。そのころから会計について深めてきた上での名誉会長の指摘であり、傾聴に大いに値するものだと思います。

会計を身につけるには

もし経理担当者がいる場合は、その人に疑問に思ったことについて「なぜそういう金額になるのか」を尋ね、自分が納得するまで詳しく教えてもらうということが大切だと思います。顧問税理士がいる場合はその税理士に聞くのがよいでしょう。

経営者が経理担当者に会計について質問することは何も恥ずかしいことではありません。稲盛名誉会長も京セラが出来て間もないころ、経理担当者にあきれられるぐらい何度も何度も質問して会計について理解を深めていったそうです。前掲書の中で書かれています。

体系立てて会計を学習するには、手始めに、市販されている日商簿記のテキストを読むのがよいと思います。できれば日商簿記検定を受験するなどの目標を立てて勉強されたほうが、モチベーションが維持できると思います。このような座学をしながら、実際にご自分の企業の会計を見られたら相乗効果が計り知れないでしょう。

私自身、実は経営についてはド素人で2010年頃まで簿記にもまったく触れたことがありませんでした。しかし、会計業界に入ろうと決意して簿記の勉強を始めました。勉強を続けているうちに、新聞の経済面のニュースの内容がだんだんと理解できるようになってきました。

「A社の売上○○円、売上総利益○○円、経常利益○○円」「B社は黒字経営を続けていたが、資金繰りがゆきづまり経営破綻」。このようなニュースの内容がおぼろげながら理解できるようになると、簿記は案外面白いなと感じて勉強がはかどった記憶があります。

私は稲盛名誉会長ほど厳しいことは申しませんが、経営者の方には会計は大切です。当事務所では会計に関するアドバイスもおこなっていますので、ご利用いただければと思います。このブログでも会計に関する事柄も書いていくつもりです。

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