今回は、消費税の標準税率(10%)と軽減税率(8%)がどちらが適用されるか、代表的な具体例に即して考えてみましょう。クイズのような形でまとめました。
下記の事例の場合、どちらの税率になるでしょうか。いずれも事業者として販売する立場で考えてみて下さい。人が口に入れるものは軽減税率のはず・・・なんとなくそう思われるかもしれませんが、具体的に考えると意外にむずかしいと感じるのでは?
一般的に、みりんはアルコール分1度以上であるため酒税法に規定する酒類に該当します。言うまでもなく酒類は口に入れるものです。しかし、酒類は消費税法上、軽減税率の対象となる「飲食料品」の範囲からは除かれています。
みりん風調味料は、アルコール分が1度未満ですので、酒税法に規定する酒類に該当しません。したがって、みりん風調味料は、消費税の軽減対象となる飲食料品の範囲に含まれます。
ノンアルコールビールは、酒税法に規定する酒類に該当しません。したがって、ノンアルコールビールは、消費税の軽減対象となる飲食料品の範囲に含まれます。ちなみに甘酒も同様です。
なおビールや発泡酒は酒類に該当しますので、標準税率となります。
医薬品、医薬部外品、再生医療等製品は、食品表示法に規定する食品に該当しません。したがって、消費税の軽減対象とはなりません。たとえば、リボビタンDとかチオビタドリンクなどは「医薬部外品」ですので、軽減対象とはなりません。
ケーキはもちろん、食品ですので軽減税率の対象です。保冷剤は無償ですので関係ありません。
ただし、保冷剤について別途お金を徴収しているときは、この部分は標準税率の対象です。
この事例は、結局は、飲食設備がある場所において食事を提供するサービスです。セルフサービスの店といえども、テーブルとか椅子とかが置いてあるでしょう。したがって、セルフサービスであったとしても、いわゆる「外食」に該当し、標準税率となります。
筆者の知っている屋台のラーメン屋は、店の前に簡単なテーブルとか椅子などを設置しています。こういう場合も、飲食設備がある場所において食事を提供するサービスとしていわゆる「外食」に該当しますので、標準税率となります。
しかし、テーブルや椅子などの飲食設備が何もない場合などは軽減税率となります。個々のケースにより判断が分かれるところです。
国税庁は、コンビニ側に販売の際に客に対し、イートイン利用か持ち帰りかの意思を確認するよう求めています。
①一体資産の税抜価額が1万円以下であり、かつ、②一体資産の価額に占める食品部分の価額の割合が3分の2以上である場合には、「飲食料品の譲渡(販売)」と位置づけられ、軽減税率です。
2つの条件のうちいずれか1つでも満たさない場合は標準税率です。ケース・バイ・ケースというわけです。
①一体資産の税抜価額が1万円以下であり、かつ、②一体資産の価額に占める食品部分の価額の割合が3分の2以上である場合には、「飲食料品の譲渡(販売)」と位置づけられ、軽減税率となります。
しかし、このケースでは、ケーキ本体よりも専用容器の方が高額ですので、②の条件を満たさない。したがって、最初に述べたように標準税率となります。
このケースと同じようなものに、漆塗りの重箱に入ったおせち料理などが考えられます。
以上は、国税庁が発表しているQ&Aを参考に作りました。